いい天気です。「絶好の行楽日和」というやつですね。なのに、どうしてボクは組合の調査の集計なんかやってるんだろう…。
大学に来るまでにも、多くの旅仕様バイクをみました。こちらはパニアケースをつけた大きなバイクで出勤しているので、対向車線のバイクからピースサインを送ってくることがあります。
「あんたもツーリング中? 気をつけていい旅を!」
「そっちもな!」
そんな意味をこめてサインを交し合うわけです。
サインの出し方は、人によって、国によって、違いがあります。日本では、対向車線のバイクに見えやすいように、左手をヘルメットの上辺りにもっていって、指2本を出したピースサインをつくることが多いです。右側通行のアメリカでは、左腕を真横か斜め下にまっすぐ伸ばすのが一般的です。指はパーにして手のひらを前を向けたり地面に向けたりする人もいれば、指2本を出したピースサインにする人もいます。同じピースサインでも、まっすぐ伸ばす人もいれば、指先を地面に向ける人もいます。また、フランスでは左手ではなく、足を出したりします。
そんな違いはあっても、ツーリング中のバイクどうし、お互いにエールを交し合うわけです。
バイクは基本的にパーソナルな乗り物です。たとえ二人乗りしていても、無線のヘッドセットを仕込んでいないかぎりは走っているあいだ会話もありません。ましてや、違うバイクどうしだとコミュニケーションをとりようがない。だから、「バイクの社会」なるものは存在しない――そう思われてきました。だから、「暴走族の社会学」とか「バイク便ライダーの社会学」はあっても、「バイクの社会学」という学問は存在しません。
ところが、実際には、上記のピースサインのようにコミュニケーションは行われています。バイク乗りの「聖地」のような知識を共有したりもします。信号での並び方、バイクの止め方にもちょっとしたルールが出来上がったりします。そうやって、さまざまな「シンボル」を交換したり共有したりしながら、「バイクの社会的世界」はできあがっているわけです。
ところで、アメリカ式のピースサインは左腕をまっすぐ伸ばすと書きましたが、けっこう難しいんですよね。制限速度を守ってマッタリ走っているときはいいのですが、免許取り消しになりそうなスピードを出しているときにそんなことをすると、どれだけ足でしっかり車体をホールドしていても、左腕だけにすさまじい風圧がかかってバランスを崩しそうになるのです。だから、風圧の軽くなる腕の出し位置をあらかじめ確かめておいて、そこをねらって腕を出すのです。
ばかばかしいけど、アメリカでハイスピードのツーリングをするときは、必須の知識です。